「Oaxacan wood carving 進化するメキシカン・フォークアート」展(*終了しました)に展示されている作品の作家は30人以上います。ほんの少しだけご紹介いたしましょう。
オアハカ州ラ・ウニオン・テハラパン村のサンティアーゴ・ファミリーは、1960年代から変わらない素朴な作風が特徴です。そして素朴なるゆえに、会場内でも異彩を放っています。サンティアーゴ・ファミリーの作品は、みんなよく似ています。そしてご本人たちも。
マルティン・サンティアーゴさん(74歳)。村で、そしてファミリーで最初にウッドカーヴィングを始めた方。「Oaxacan wood carving 進化するメキシカン・フォークアート」展で上映されている映像にも登場します。畑のなかの小道を歩いていき、たどり着くのが彼の家。ウッドカーヴィングを製作しているのは家の中、ベッドや戸棚などが土間に置かれているのが見えます。語る内容はなかなか泣かせるもの。映像を見たイシドーロ・クルースさん、「30年ぶりに彼の家を見るけど、相変わらずビンボーそうだなあ」。
マルティンさんは、こんなに小さな動物の作品ばかりをつくっています。オアハカン ウッド カーヴィングで現在主流のアクリル絵の具ではなく、昔ながらのアニリン染料(1800年代に作り出された合成染料)で彩色しているので、独特の味わいがあります。
キリーノ・サンティアーゴさん(68歳)。マルティンさんの弟。マルティンさんととてもよく似ています。初めて会ったときは、同一人物かと思いました。シャツも同じようなのを着ていらしたので、シャツのポケットの数で見分けました。やはり「Oaxacan wood carving 進化するメキシカン・フォークアート」展で上映されている映像に登場。最後にしみじみと人生を語ってくれます。
キリーノさんは、マルティンさんよりも大きめの動物をつくります。だいたい20cmくらい。
フランシスコ・サンティアーゴさん(80歳)。マルティンさん、キリーノさんのお兄さん。ひげはありませんが、似ています。やや年上ということはわかりますけれども。
老人や天使など、人のかたちをした作品が多いです。ちなみに、アラソーラ村の若き巨匠ミゲル・サンティアーゴさんは、「本人に会ったことはないけれど、作品を買ったことがある。ほんとうに味わいがあって好きなんだ!」と、フランシスコさんの作品を絶賛。ちなみにミゲルの姓もサンティアーゴですが、このファミリーとは血のつながりはありません。
プラシド・サンティアーゴさん(60歳)。マルティンさん、キリーノさん、フランシスコさんの弟。やや似ています。が、若さがあります。
動物や人のかたちのものなど、いろいろな作品をつくります。
それぞれに息子さんやお嬢さんもいらっしゃいます。でも、次世代になるとあんまり顔が似ていないので、ハイメ・サンティアーゴやマキシミーノ・サンティアーゴなど、作家として有名な方もいるけれど、写真は省略。
似ている、といえば、作家と作品が似ている場合もあります。
アルマンド・ヒメネスさん。オアハカン ウッド カーヴィングの創始者マヌエル・ヒメネスの孫。作風はマヌエル・ヒメネス直系なんですが、さらに彼ならではのオリジナルなアイデアをプラスした感じ。とてもかわいい動物をつくります、ご本人がかわいいかどうかはともかく。
アルマンドさんの作品。セイウチ。似ています。
弟のモイセス・ヒメネスさん。お兄さんとはあまり似ていませんが、
作風はアルマンドさんのとそっくり。同じです。
夫婦で似ている場合も。
マルティン・メルチョールさんと奥さんのメリンダ・オルテガさん。どことなく似ています。ふたりはとてもいい人です。いい人のところもそっくりです。
マルティンさんは、自転車に乗った動物やガイコツで名を馳せました。
似ている、とは関係がありませんが、ここでレオンシオ・マルティネスさんの自慢話をオマケに。
デヴィッド・ボウイが彼の作品を持っている、というのがその自慢。レオンシオさんの作品とボウイが一緒に写っている雑誌の切り抜きは、このように、いつでもだれにでも見せられるように、スタンバイされています。「パリのギャラリーで、ボウイがおれの作品を買ったらしい。それが雑誌に載ったんだ」
レオンシオさんは、この写真の右に小さく見えているゴリラや、カメなどの作品で有名な方です。「Oaxacan wood carving 進化するメキシカン・フォークアート」展にもゴリラやカメなどが展示されています。
ほかにも、作家の紹介をしなければいけませんが、とりあえずいちばん重要な3人の作家の紹介は
展覧会の図録をご覧ください。また、この「雑記」と図録をあわせてご覧いただくと、より理解を深めることができると思います。*完売しました。
作家紹介は、まだまだ続きますが、次回は違うお話にするかもしれません。
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