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ミステカ ポブラーナの陶芸

『ミステカ ポブラーナ地域の陶芸 – 生命の樹、その歴史、そのルーツ』展


「聖母マリアや天使などで装飾された(「生命の樹」と呼ばれるような)陶芸作品はスペインにも似たものがなく、メキシコ・プエブラ州ウアケチューラで生み出されたものである。そしてウアケチューラの陶工たちが同州イスーカル デ マタモロスに移り住んだことで、イスーカル デ マタモロスはメキシコでもとくに重要な陶芸の中心地のひとつとなった。またそのような陶芸スタイルは西隣のモレーロス州のいくつかの村にも広まった」

– メキシコ国立民芸館初代館長ダニエル F. ルビーン デ ラ ボルボージャ(『Arte Popular de Mexico』artes de mexico/1963)

60年以上前のこのボルボージャ館長の言葉を辿るべく、9月21日よりLABRAVA店内にて『ポブラーナ地域の陶芸 – 生命の樹、その歴史、そのルーツ』と題した展示販売をおこないます。

ミステカ ポブラーナ地域とは、ミステカ文明が栄えたプエブラ州、オアハカ州、ゲレーロ州にまたがるミステカ文化圏のうち、プエブラ州に属する地域のことをいいます。この地域に、メキシコの数ある陶芸産地のなかでもとくに独特な、いわゆる「生命の樹」と呼ばれる作品がつくられている(またはつくられていた)イスーカル デ マタモロス、アカトラン デ オソリオ、ウアケチューラという3つの町が集中しているのはとても不思議な気がします。ボルボージャ館長は、その理由は「生命の樹」のルーツがウアケチューラにあり、その後まわりに広がっていったからだと教えてくれます。

そこで今回の展示では、イスーカル デ マタモロスのフローレス家とカスティージョ家が製作した生命の樹やマル デ アイレ除け人形、アカトラン デ オソリオの伝説的陶芸家エロン マルティネス(1918-1990)が製作した生命の樹やオブジェ、そしてウアケチューラ最後の陶工、イグナシオ ペラルタ ソレダー(1953-2024)の貴重な作品などを並べ、「生命の樹」のルーツと歴史を見つめます。さらにミステカ ポブラーナ地域から外れてはいるものの、その影響を大いに受けたであろう作品もいくつか展示する予定です。ヴィンテージ作品から近年の作品までさまざまな作品をご覧いただきながら、その道のりに思いを馳せては。

ちなみにボルボージャ館長は、「生命の樹」と呼ばれるタイプの作品を「生命の樹」とは言っていません。「生命の樹」と呼ぶようになったのはおそらく1960年代後半のこと、それもつくり手ではなく外部の人びとが付けた名称だからです。なぜミステカ ポブラーナ地域の燭台が「生命の樹」と呼ばれるようになったのか。それをひもとくのは、またの展示で。

展示のスタートに選んだ9月21日は、イグナシオ ペラルタ ソレダーの一周忌です。ウアケチューラ最後の陶工を偲びつつ、ミステカ ポブラーナ地域の陶芸の展示をはじめます。
ぜひご来店ください。

また、たばこと塩の博物館で9月20日から開催される『けむりと人々のつながり – メソアメリカの記憶』展でLABRAVAが製作する「死者の日の祭壇」はイグナシオ ペラルタ ソレダーに捧げています。
イグナシオ ペラルタ ソレダーの作品をふんだんに飾った祭壇をぜひご覧ください。


『ポブラーナ地域の陶芸 – 生命の樹、その歴史、そのルーツ』展
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● 2025年9月21日(日)〜10月8日(水)
*9月27日(土)は休業します。

● LABRAVA店内にて