LABRAVA

メキシコノート 0015

エアプランツ

電線に着生しているチランジア
San Martin Tilcajete, Oaxaca, Mexico, 2009

メキシコではあちこちでエアプランツを見かける。といっても、あるとき植物マニアの方から、エアプランツはアメリカ大陸原産でメキシコにたくさん自生しているはず、と聞くまでは、そのふたつが結びついていなかったものだから小指の先ほども意識していなかった。意識して見るようになると、そこここにふわふわとしっかりと、いろんなタイプのエアプランツがたっぷりと自生している。木に着生しているものをよく見かけるが、とんでもないところに着生しているのもあり、エアプランツ探しもなかなか楽しい。なかにはタンブルウィードよろしく、落っこちて地面をころころところがっているのもある。

エアプランツは、正確にはパイナップル科チランジア(ティランジア)属の植物のことをいう。種類もたくさんあるらしい。が、どれも樹木や岩などに着生し、土を必要としない。大気中の水分を葉から吸収したり、雨を表面の吸水細胞にためておいたりできるしくみになっている。ちょっぴり風通しをよくしてやったり水を少しやったりするだけで、ほとんど放っておいても元気でいてくれるので手がかからないし、土に植えなくていいのだから、テーブルの上にころがしておいたり、天井や壁からぶらさげたり、いろいろな飾りかたが楽しめる。それでけっこう人気があるということなのだろうか、日本でも室内観賞用に売られているのをよく見かける。

日本では小洒落たインテリアのアクセントとして大活躍のエアプランツ。メキシコでも観賞用として使われているのを見ることもあるけれど、たいがい見るのは野生のたくましく自生する姿だ。大きな樹木の枝にくっついているのなら美しいし、植物の神秘なども感じる。ところが、着床したのが無機質な電線となると、なんだか滑稽だ。とはいうものの、必死に根を巻きつけてしがみついてる様子はいじらしくもある。